損益分岐勝率:リスクリワードとコストが求める勝率
教育目的のみであり、投資助言ではありません。シミュレーションとバックテストはモデルであり、約束ではありません。すべてのルールはご自身のファームで確認してください。
どの戦略にも、損益ゼロにするだけで超えなければならない勝率があります。コストはその数字を押し上げ、狭いストップはさらに押し上げます。計算方法と、それを本当に上回っているとどこまで言えるかを説明します。
計算式
すべてをR、つまり1トレードあたりのリスク額で測ります。勝ちはb R(リスクリワード)、負けは1 R、そしてどのトレードにもc Rのコスト(スプレッド、手数料、スリッページ ÷ ドル建てのリスク)がかかります。勝率をpとすると、1トレードあたりの期待値は
E = p × b − (1 − p) − c
Eをゼロとしてpについて解くと:
損益分岐勝率 = (1 + c) ÷ (1 + b)
早見表
| リワード : リスク | コストなし | コスト0.05R | コスト0.10R |
|---|---|---|---|
| 0.5 : 1 | 66.7% | 70.0% | 73.3% |
| 1 : 1 | 50.0% | 52.5% | 55.0% |
| 1.5 : 1 | 40.0% | 42.0% | 44.0% |
| 2 : 1 | 33.3% | 35.0% | 36.7% |
| 3 : 1 | 25.0% | 26.3% | 27.5% |
52%勝つ1:1の戦略はエッジがあるように見えます。しかし0.05Rのコストを引くと損失になります。
Rで見たコスト:狭いストップが高くつく理由
コストはドルで見ると1トレードあたりほぼ一定ですが、リスクはストップ幅で決まります。そのため、ストップが狭いほど同じコストがRに占める割合は大きくなります。
EUR/USDの例:1標準ロットは1pipあたり10ドルです。スプレッド1pip、往復手数料7ドルと仮定すると、1ロットあたり約17ドルです。10pipのストップなら1ロットあたりのリスクは100ドルなので、c = 17ドル ÷ 100ドル = 0.17Rとなり、1:1のトレードが損益ゼロになるには58.5%の勝率が必要です。30pipのストップなら1ロットあたり300ドルのリスクで、c ≈ 0.057R、損益分岐は約52.8%まで下がります。実際のスプレッドと手数料は異なるので、自分の数字を入れてください。
プロップ口座でのスキャルピングが難しいのはこのためです。不可能ではありませんが、1トレードあたりのエッジがはるかに高いハードルを越える必要があります。
期待値の計算例
0.05Rのコストで、1.5:1のトレードの45%に勝つとします。するとE = 0.45 × 1.5 − 0.55 − 0.05 = 1トレードあたり+0.075Rです。この設定での損益分岐は42%なので、3ポイント上回っています。1トレードあたり200ドルのリスクなら平均で1トレード15ドル、3,000ドルの目標には約200トレードが必要です。目標到達日数計算ツールはこれを日数に換算し、平均のまわりのばらつきも示します。
勝率が高いことはエッジではない
利確目標を近づけるか、ストップを遠ざければ勝率は上げられます。市場にエッジがなければ、コスト前の期待値がゼロのままになるよう、リスクリワードがちょうどその分だけ下がります。これが任意停止定理で、ストップと利確目標ではエッジは作れないで解説しています。重要なのは、自分のリスクリワードとコストに対する損益分岐を、勝率がどれだけ上回っているかだけです。
どこまで確かと言えるか
測った勝率はノイズを含んだ推定値です。nトレードでの標準誤差は√(p × (1 − p) ÷ n)です。1:1で100トレード中55%勝った場合、おおよその95%範囲は55% ± 9.8%、つまり約45%から65%です。この範囲には損益分岐(コスト0.05Rで52.5%)も、負ける結果も多く含まれます。400トレードなら約50%から60%に狭まり、1,000トレードでも約52%から58%の幅が残ります。
実際には、小さなエッジを確かめるには数百トレードが必要です。数十トレードの結果や、1回合格したチャレンジでは、どちらの方向にもほとんど何も証明できません。
チャレンジでの使い方
- ストップ幅を決める前に、実際のコストで損益分岐を計算する。
- 勝率、リスクリワード、コストを合格確率計算ツールに入れる。損益分岐を下回るとリスクを小さくするほど合格確率は下がり、上回るとリスクを小さくするほど上がります。
- この数字をどう使うかは、用語集の期待値とプロップチャレンジのポジションサイズを読んでください。